オトメの魔法
『ほら,ついたよ』

支えられて馬から降りると,そこには本物のお城。

白くてツルツルで,何度も空想したお城そのままでした。

ーありがとう。お馬さん。

女の子はお礼にキスを1つ馬に落として,お城に足を踏み入れます。

女の子は不思議な光に包まれて,格好が変わります。

ーとっても不思議! でも,ドレスじゃないのね…

そして気付きます。

あら? これ,私のお気に入りのお洋服だわ…! どうして?

王子様の衣装も,もう王子様ではありません。

灰色のパーカーに,ジーパン。

黒髪がよく目につきました。

『ほら,踊るんでしょう? よく似合ってる』

ーえ,ええ。

踊り方など知らないけれど,女の子は差し出された右手をとります。

似合ってる。その言葉がとても嬉しかった。

周りには誰もいない。

とても格好いい王子様と,女の子だけ。
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