美雪
 死ねなかった。

 死ぬ勇気がなかったわけではない。雪女の本能が、拳銃を凍らせていたのだ。

 他の死体が持っていたナイフも試してみたが、体から氷の柱が飛び出し、ナイフを持っていた手を弾いた。
 氷の柱の生えたところは、すぐに元通りになった。

「これじゃ本当に妖怪じゃない…!」

 私は山に向かって歩きだした。

 雪山でも雪女の私は凍死なんてしないのに。

 私は何日も眠らずに歩いた。山の頂上にたどり着いたとき、私は疲れ果てて眠った。
 どうしてこんなことになってしまったのだろう。どこから間違ったのだろう。もう一度やり直したい、と思いながら意識を手放した。

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