午後11時、蝶にかける願い
「ね、すずちゃん。行こう?」
「えっ……」
祐弥は涼香の手を取って笹の方へ歩いていく。
涼香もそれに引っ張られる形で笹の目の前に着いた。
「何にしようかな〜」
短冊を見つめる祐弥はペン回しをしながら願い事を思案している。
涼香は少し迷いながらもスラスラとペンを走らせた。
(これからもずっとこのままで──磯田先輩と一緒に──いられますように)
笹に短冊を掛ける前に、いつもお守りのように大切にしている蝶の形をしたネックレスに手を当てる。
このネックレスは涼香が中学生の時に祖母から貰った銀のネックレスで、両羽を開いた蝶の姿があしらわれたものである。涼香はこのネックレスを肌身離さず着けていた。
「よし、書けた。すずちゃんも書けた?」
「はい、できました」
涼香は祐弥に短冊を見られないように、こっそりと笹の下の方に手を伸ばした。
「えっ……」
祐弥は涼香の手を取って笹の方へ歩いていく。
涼香もそれに引っ張られる形で笹の目の前に着いた。
「何にしようかな〜」
短冊を見つめる祐弥はペン回しをしながら願い事を思案している。
涼香は少し迷いながらもスラスラとペンを走らせた。
(これからもずっとこのままで──磯田先輩と一緒に──いられますように)
笹に短冊を掛ける前に、いつもお守りのように大切にしている蝶の形をしたネックレスに手を当てる。
このネックレスは涼香が中学生の時に祖母から貰った銀のネックレスで、両羽を開いた蝶の姿があしらわれたものである。涼香はこのネックレスを肌身離さず着けていた。
「よし、書けた。すずちゃんも書けた?」
「はい、できました」
涼香は祐弥に短冊を見られないように、こっそりと笹の下の方に手を伸ばした。