午後11時、蝶にかける願い
 「……でも正直迷惑ですよね?私、冴えないし……私なんかよりもっと綺麗な人がいいですよ」
 涼香の肩はふるふると震えている。
 「すずちゃんは綺麗だし、とっても真っ直ぐだから……全然迷惑なんかじゃないし、むしろ俺はすずちゃんとたくさん過ごせて嬉しいから」
 祐弥は涼香の濡れた前髪をかき分ける。
 「泣かないで。すずちゃんはすごくいい子だし可愛いよ」
 「先輩……すみません、ありがとうございます」
 涼香は目の端を拭って、笑った。
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