捨てられたひよっこ聖女の癒やしごはん~辺境の地で新しい家族と幸せライフを楽しみます!~


 彼の力になりたいが生憎アスランは喋ることができない。子供だから喋ることができないのか、もともと妖精獣は喋れない生き物なのか、リズには分からなかった。

『アスランはまだ子供なの。多分だけど、もう少し大きくなれば喋れるようになるの』
 リズの疑問に対して丁度アクアが答えてくれる。
 それでもリズは彼が何の目的でここへやって来たのか知りたくなった。

(何か良い手段はないでしょうか)
 どうしたものかと頭を捻らせていると、アスランがおもむろに立ち上がり、リズの前で身体を伏せる。
「まあ、背中に乗せてくれるのですか?」

 アスランが頷くのでリズはお礼を言って背中に乗る。彼がこちらの世界に来た理由を突き止めたいリズだったが、また触り心地の良い背中に乗せてくれるとあってはそれどころではなくなってしまった。
 リズを乗せたアスランは走り出すとスピードを上げ、風のように森の中を駆け抜ける。

 お陰で予定より早く教会に到着することができた。

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