捨てられたひよっこ聖女の癒やしごはん~辺境の地で新しい家族と幸せライフを楽しみます!~

第4話



 この時間帯だとヘイリーは礼拝堂で信者の懺悔を聞いているし、ケイルズも畑仕事をしている。メライアは写本作業に追われているのでアスランを紹介するのは夕飯時になりそうだ。
 リズは三人の妖精とアスランを連れて厨房へ行き、調理台に立った。

「今日の夕飯は本来であれば魚料理の日なのですが、あいにく魚がありません。代わりといっては何ですが森で摘んだ甘いブルーベリーを使ったお菓子を出します」
 オーブンを温めている間にまずは湯煎でバターを溶かす。ボウルに卵を割り入れて溶きほぐしたらはちみつを入れて泡立て器で混ぜる。そこに溶かしておいたバターを入れ、さらに薄力粉と砂糖をふるいながらゆっくりと混ぜあわせていく。
 洗っておいたブルーベリーを加えてさっくり混ぜあわせたら、用意していた型にバターを塗ってから生地を流し入れる。

『オーブンの温度、良い感じになったよ』
「ありがとう、イグニス」
 イグニスに温度調整をしてもらったオーブンに型へ流した生地を入れて二十分ほど焼くと、しっとりとしたきつね色に、艶めいたブルーベリーがアクセントのマドレーヌが完成する。バターの芳ばしい香りとブルーベリーの甘酸っぱい香りが厨房に充満して食欲をそそる。

 味見したくなったリズだったが、これはみんなで一緒に食べるべきだと自分を戒め、夕食の準備に取り掛かった。

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