捨てられたひよっこ聖女の癒やしごはん~辺境の地で新しい家族と幸せライフを楽しみます!~
第5話
(一体何でしょう?)
驚いたリズは走って厨房へと戻る。
「どうしました!?」
勝手口から顔を出すと、厨房の入り口には腰を抜かして震えるケイルズがいる。
リズが声を掛けると、ケイルズがこちらに顔を向けて震える指で何かを差した。
「リ、リリリズ、あそこにいるのは……」
指さす方向を見ると、そこにはアスランがいる。
アスランはケイルズが叫んだにもかからず、厨房の床に伏せて目を閉じていた。
リズはケイルズがアスランに驚いたのだと分かると息を吐いた。
「ケイルズ、大丈夫ですよ。アスランは身体が大きいですけど襲いません」
しかし、リズの言葉が耳には入っていないようで、ケイルズは混乱しているままだ。
「なっ、なんでここに……え? ええ!?」
あまりの混乱ぶりにリズは苦笑した。
「ケイルズ、落ち着いてください」
リズがケイルズを落ち着かせていると先程の叫び声を聞いて、ヘイリーやメライアも集まってきた。