捨てられたひよっこ聖女の癒やしごはん~辺境の地で新しい家族と幸せライフを楽しみます!~


「マッシュポテトはミルクと一緒に煮込むのが定番なのですが、それだと水分の調整が難しいのでマッシュしながら適宜ミルクを注ぐのがポイントなのですよ。そうすることで水分が多い少ないといった失敗もなくて美味しいマッシュポテトができるのです」
 リズが人差し指を立てて説明すると、みんなが感心した様子で耳を傾けてくれる。

「なるほど。私のマッシュポテトはミルクと一緒にじゃがいもを煮ていたから緩かったのね」
 納得したようにメライアが手のひらにぽんと拳を乗せる。
 彼女はリズのご飯を食べるようになってから肌の調子や髪の艶が良くなったと喜んでくれる。
 心なしかヘイリーもケイルズも初めて来た頃より血色が良く、肌つやが良くなっていた。

「本当にリズは賢くて物知りだね。それにこのソーセージとキャベツの白ワイン蒸しもとっても美味しいよ。いつもと同じソーセージで作った料理なのに、風味も味もワンランク上がった気がする」
「褒めてくれてありがとうございます、ケイルズ。ソーセージはあらかじめ穴を開けておいたので白ワインを吸収してより一層美味しくなるのです」
 解説するリズはフォークでビーツのマッシュポテトを掬うと一口食べる。芳ばしいナッツが鼻を抜け、バターの風味が利いた滑らかなビーツとジャガイモが美味しい。

 夢中で食べていると、隣に座るクロウがじっとこちらを見つめてきた。
「お兄さん、どうしました?」

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