捨てられたひよっこ聖女の癒やしごはん~辺境の地で新しい家族と幸せライフを楽しみます!~


 それからヘイリーたちが集まっているであろう司教室へと向かう。予想通り、そこにはヘイリーとクロウがいて、二人で話し合っているところだった。
「司教、離れ棟に重症者を連れてくるには人手もベッドの数も足りません。要塞で治療をした方が早いと思います」
「その方が良さそうですね。教会本部に連絡すると、今回は危機的状況と判断してくれたようで、早急に本部の人間を派遣してもらえることになりました。アシュトラン殿の時は別件で身動きが取れず、難しかったようですが今回は全面的に協力してくだいますし、あなたの呪いも浄化してくれると言っていました。替え馬を使えば数日でスピナに到着するでしょう」

 ヘイリーの話を聞いたクロウは安堵の息を漏らした。
「それなら良かったです。一先ず、樹海で採ってきた薬草が要塞にありますのでそれを煎じて飲ませることができれば助けることができます」
 ヘイリーは少しだけ安心したように表情を緩める。
「是非、その薬草をいただけますか。毒を浄化できるほどの聖力はありませんが、私の僅かな聖力を込めて解毒薬を作りましょう」
「薬草は病室の隣の部屋に保管してあります。好きに使ってください。ところで司教、俺の呪いのことですが……」
「あのう、司教様……」

 そこでリズが二人の話に割って入った。まだ会話が終わっていないのに話に入るのは行儀が悪い。しかし、二人が足早に歩き出そうとしていたので咄嗟に声を掛けてしまった。

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