捨てられたひよっこ聖女の癒やしごはん~辺境の地で新しい家族と幸せライフを楽しみます!~
「お話中にごめんなさい。ですが、どうか私も要塞へ連れて行ってください!!」
リズはヘイリーの服の裾を掴んで懇願した。
当然ではあるがヘイリーは微笑みながらも困っている。
「絶対絶対、邪魔はしません。足手まといにもならないよう心がけます。だからどうか……」
お願いします、という言葉と同時にリズは頭を下げる。
その様子を眺めていたクロウがおもむろに口を開いた。
「俺からもお願いします。リズを要塞へ連れて行ってあげてください。彼女ならきっとみんなの役に立ってくれます」
「お兄さんっ……」
まさかクロウが後押ししてくれるなんて思ってもみなかったリズは驚きと同時に彼から認めてもらえたような気がして胸が熱くなった。
リズが感動して顔を伏せていると、クロウが側に寄ってきて頭を優しく撫でてくれる。
「俺も行きたいのは山々だがまだ呪われている身だ。ここから出ることは危険だから、代わりにリズがみんなを助けてくれ」
「はい! 約束します!!」
リズが元気よく答えると、ヘイリーが頬を掻きながら側に寄ってきた。
「……分かりました。リズにも看病を手伝ってもらいましょう。人手も足りないでしょうからね」
渋々と言った様子ではあったが最終的にヘイリーはリズが手伝うことを了承してくれた。