捨てられたひよっこ聖女の癒やしごはん~辺境の地で新しい家族と幸せライフを楽しみます!~
ソルマーニ教会と要塞を繋ぐ道はここから一本道。見晴らしも良いので後どのくらいで要塞へ辿り着けるのか大凡見当がつく。
半分くらいの距離を過ぎるとリズの中で緊張感が高まる。
「司教様、魔物の毒はどういった症状を伴いますか? 一般的な毒については聖学で学びましたが魔物によって症状が追加されると聞いています」
「そうですね。魔物の毒は魔物にもよりますが、スピナ周辺に生息している魔物たちが持っている毒を浴びると身体に激痛が走って息苦しい症状、高熱が多いです。毒の濃度が高いと肌に紫色の痣が浮き出てきます」
「それは……とっても恐ろしいです」
凄惨な状況を想像したリズは自身を抱き締めるとぶるりと身体を震わせた。
(メライアと一緒に聖学を勉強しましたが、感染症ではないので他人には移りません。でも、悪い気が溜まると魔物の邪気が強まるので室内の衛生管理は徹底させておく必要がありますね)
隊員の半分が魔物の毒にやられて壊滅状態。少しでも軽症の人から回復してもらわなくては、穴埋めで休みも返上で要塞を守ってくれている聖騎士の負担が大きくなる一方だ。
(私ができることはお掃除をして清潔な空間を保つことと薬を飲んだ後にベリーシロップを飲ませることのようですね)
自分の役割を頭の中に再度叩き込んだリズは拳をきつく握り締めて自らを奮い立たせた。