捨てられたひよっこ聖女の癒やしごはん~辺境の地で新しい家族と幸せライフを楽しみます!~
それから三日間、リズたちは付きっきりで聖騎士たちの看護に当たった。
ヘイリーが処方した解毒薬は全員に飲ませることにした。マイロンが日頃の鍛練で鍛えているから忍耐力はある、と後押ししてくれたのだ。苦しみが増すかもしれないのは承知の上だが全員を助けるためだ。
メライアが解毒薬を飲ませる準備をしている傍らで、リズは思い出したようにごそごそと自分の鞄の中を漁る。
鞄から出したのはベリーシロップの入った瓶、それと数個のレモンだ。
リズはもう一度それらを鞄にしまってから肩に掛け、教えてもらった厨房へ移動する。
洗い場で手を洗ってから調理台の上にベリーシロップとレモンを置いた。
「薬のお口直しもそうですが、みなさん疲労がピークに達しているに違いありません。こんな時は疲労回復にも効果があるレモンを使って、ベリーレモネードを作るのが最適です」
まな板を用意して、その上に洗ったレモンを一つ載せると包丁で真ん中をカットする。
搾り器でレモンを搾り、果汁が取れたらそれを小鍋に入れてはちみつを加えて弱火で煮立たせる。
鍋の様子をじっくりと観察していると、三人の妖精が飛んできた。
『リズ、今度は何を作っているの?』
「ベリーレモネードを作っている最中です。丁度良かったです。イグニス、氷を取りに行っている間火加減を見ていてくれませんか?」
『リズが望むなら喜んで引き受け……』
イグニスが最後まで言ってしまう前に「ストーップ」とアクアの横やりが入った。