捨てられたひよっこ聖女の癒やしごはん~辺境の地で新しい家族と幸せライフを楽しみます!~
第10話
「アクアのお陰で冷たくて美味しそうなベリーレモネードが完成しましたよ。ありがとうございます」
リズがお礼を言うとアクアは照れ笑いを浮かべる。
「イグニスもヴェントもありがとう。これで少しでも騎士さんたちの気分が良くなると嬉しいです」
リズはスプーンを用意すると、ヴェントの力を借りて病室までピッチャーを持って行った。
病室内は先程よりも苦しむ聖騎士たちの声が強くなっている。メライアが薬を全員に飲ませたのだろう。
テーブルに置いてある薬瓶は空っぽになっていた。
その側でメライアは教会から持ってきた氷を細かく砕いて氷枕を作っていた。
妖精を引き連れたリズは彼女に近づいて話し掛ける。
「メライア、騎士さんたちにこのベリーレモネードを飲ませたいです。きっと毒に冒されてから水しか飲んでいないはずなのでこのままでは栄養不足になってしまいます」
「まあっ流石わリズね。素敵な案だわ。だけど私は今から氷枕を全員分取り替えないといけないの。リズが患者さんたちに飲ませてあげて」
「分かりました」
リズは一番端のベッドへ移動すると側にある椅子に乗ってから、横たわる患者にベリーレモネードを飲ませることにした。
「このベリーレモネードを飲んでください。少しは気が楽になりますよ」
しかし、声を掛けても患者は呻くだけで答えてくれない。試しにスプーンに少しベリーレモネードを入れて口へと運ぶが、飲んではくれずに口元から頬に伝って零れていくだけだった。