捨てられたひよっこ聖女の癒やしごはん~辺境の地で新しい家族と幸せライフを楽しみます!~


(並々ならぬ聖力を持つ逸材だなんて……もしかしてメライアが次期聖女様?)
 聖女は十代半ばから二十代の乙女にのみその力が現れる。メライアは二十歳前半でもともと妖精が見えるくらいの聖力は備わっている。この状況で覚醒したのであればそれは大変素晴らしいことだ。
 リズは話の続きが気になったが、後をつけるわけにもいかないので厨房へと急ぐことにした。


 ◇

 厨房に赴くと、要塞の料理人が既にカヌレを用意してくれていたので、あとはお茶の準備をすればいいだけだった。リズはティーセットをワゴンに載せて応接室へと運ぶ。
 応接室は要塞の外観に似合わず瀟洒な空間だった。黒檀のローテーブルの上に茶菓のセッティングをして準備が整うと、リズは大司教たちが来る前にそそくさと部屋を後にする。

 廊下の角を曲がったところで丁度向こうの方から大司教やヘイリーの声が聞こえてきた。
「まさか! 本当に毒も邪気も浄化できているとは!! これが本当ならば急いで教会本部へ戻り、羅針盤の確認をしなければいけないな!」
 大司教は大変興奮しているようで、近くにいなくてもその声がはっきりとこちらまで聞こえてきた。
(羅針盤の確認ということは、やはり次期聖女様が見つかったのですね。そしてそれがメライア)
 メライアは面倒見も良く、そしてドロテアと同じように誰に対しても親切で優しい。彼女ならば善き聖女として信者を導いてくれるだろう。

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