捨てられたひよっこ聖女の癒やしごはん~辺境の地で新しい家族と幸せライフを楽しみます!~
リズは気づかれないようにこっそりと三人の様子を窺った。
当然ながら大司教は興奮して顔を赤らめているし、話を聞いているヘイリーも朗らかだ。
「長年ドロテアが聖女としての務めを果たしてくれていたが、これで漸く引退できるな」
「ええ、大司教。私も漸く肩の荷が下りました。ずっと次期聖女が現れなかったので不安だったのです」
ドロテアも次期聖女の訪れを知ってとても喜んでいる。彼女は十年間聖女として教会に仕えてきたのだ。その間、聖女であるために様々な制約を強いられてきたに違いない。
(確か叔母様が聖女になったのは十六歳だったはずです。私は十一歳から教会本部で暮らしていますが、叔母様が側にいてくださったので寂しくはありませんでした。ですが聖女である叔母様は簡単には家族と会えませんでしたし、気軽に外出することもできませんでした。これまでとは違う生活を強いられて四苦八苦したことでしょう)
現に、ドロテアが聖女を務めている間に彼女の両親、つまりリズの祖父母は亡くなっている。葬式には出られたが生前に会うことは叶わなかった。漸くドロテアは聖女の務めを終えて俗世に戻ることができる。