捨てられたひよっこ聖女の癒やしごはん~辺境の地で新しい家族と幸せライフを楽しみます!~


 ――早くあいつが玉座から転がり落ちることを祈っているわ。だってあそこは、私の居場所だったんだから……。

 メアリーは死んでも尚、自分を次期聖女だと主張していた。もともと家族から冷遇されて目立たないように息を潜めて生きてきた人が気を引くために嘘を吐くとは考えにくい。嘘だとバレたら余計にメアリーの置かれる立場が危うくなる。
 導き出される答えとして、その恋仲だったとかいう聖騎士に踊らされた可能性が高い。だが、その聖騎士がメアリーにつけ込んで次期聖女だと唆し、得られるメリットとはなんだろうか。
 金銭が目的なら、メアリーよりも異母妹に言い寄る方が採算はあるはずだ。

「……陛下、メアリーは嘘を吐くような人とは思えません。急に性格が明るくなったとはいえ、そこまで人が変わるなんて考えられません」
「私もそう思う。メアリーは周りを気にして育ってきた娘だ。大それた嘘は吐けない。となると怪しいのは聖騎士になる。その者の情報を集めて似顔絵を描かせたところ、浮かび上がった人相が大司教と聖女の護衛をしている騎士そっくりだった」
 大司教や聖女の護衛をしている聖騎士ということは間違いなく第一部隊サラマンドラに所属する聖騎士だ。サラマンドラの聖騎士が任期付きで地方に飛ばされることなど滅多にない。ましてやその聖騎士は大司教と聖女の護衛を任されている程のお気に入り。

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