捨てられたひよっこ聖女の癒やしごはん~辺境の地で新しい家族と幸せライフを楽しみます!~
リズが振り返って現れた人物を確認した途端、リズの目頭が熱くなる。
雪のように白い肌に真っ黒な髪。灰色がかった青い瞳は慈愛の色を帯び、真っ赤な口元は微笑みを浮かべている。
「お茶を一口飲んですぐに分かったわ。私好みの味を出せるのはリズベット、あなたしかいないから」
「お、叔母様!」
リズは椅子から勢いよく立ち上がると、腕を広げるドロテアに飛び込んだ。
「嗚呼、私のリズベット。こんなに小さな身体になってしまって……無事で良かったわ」
ドロテアは瞳を潤ませてリズの無事を喜んだ。漸く会えた嬉しさからリズは嗚咽を漏らす。
「ふぅっ、うう……叔母様ぁ」
「あらあら、可愛いお顔が台無しよ? 一先ず椅子に座って落ち着きなさい」
リズは促されるまま椅子に座ると、ドロテアからハンカチを受け取って涙を拭う。
「あれから何があったのか教えてくれるかしら? どうして身体が小さくなっているかも含めてね」
優しくドロテアに尋ねられたリズはこっくりと頷くと、訥々とことの顛末を説明した。
妖精界へ渡るため、崖から落とされたこと。身体が小さくなったこと。運良く助かってクロウと出会い、ソルマーニ教会でお世話になっていたこと。これまでのことをリズは包み隠さず話した。
ドロテアはリズの話を一心に聞き入る。