捨てられたひよっこ聖女の癒やしごはん~辺境の地で新しい家族と幸せライフを楽しみます!~
「ところで今日は何の用件で来られたんですか?」
尋ねられたクロウは膝の上に置いていた大きな包みをテーブルの上に置いた。
「リズがシルヴァのためにクッキーを大量に作ってくれたから届けに来た」
包みの中から大瓶を取り出せば、中には葉っぱや花の形をしたクッキーがたくさん詰まっている。きつね色のシンプルな焼き菓子だが、マイロンは破顔して感激した。
「わあ、ありがとうございます。めっちゃくちゃありがたいです。リズちゃんの作るお菓子は薬を飲むより効き目が良いし早い。何より苦い薬と違って味も美味しいからみんな重宝しています!」
リズは相変わらずソルマーニ教会で美味しいご飯を作っている。
ベリーレモネードの一件で自分の作るご飯に治癒や浄化といった癒やしの力が宿ることを知ってからは定期的にシルヴァで働く聖騎士たちや町の住人たちのためにお菓子を作っているのだ。毒にも傷にも効く万能菓子として、聖騎士たちは魔物討伐へ向かう際は必ず携帯している。
マイロンは大事そうに大瓶を抱えると、思い出したように次の話題に移った。