捨てられたひよっこ聖女の癒やしごはん~辺境の地で新しい家族と幸せライフを楽しみます!~
(これはどうなっているのです!? 私の身体、小さくなってます!?)
ふと、リズは先程の青年の言葉を思い出す。
彼は樹海の真ん中で倒れていたと言っていた。それはつまり、自分はまだこの世にいるということを意味している。崖から落ちて奇跡的に生還したことはとても嬉しい。だが、どうして身体が小さくなってしまっているのかは謎だ。
事態を確認するためにリズは近くを流れる川を見つけると覗き込む。するとそこには、七歳くらいの自分の姿が映っていた。頭の中はますます混乱して事態の収拾がつかない。
「何が起きているのです? 私、てっきり妖精界へ渡ったとばかり……」
するとこちらの様子を怪訝そうに眺めていた青年がその発言を聞いて表情を歪めた。
「まったく。幼気な子供に変なことを吹き込むとはなんて親だ。大丈夫だ、お嬢ちゃん。俺が君を保護しよう。俺の名前はクロウだ」
どうやらクロウは親が口減らしか何かの理由で、リズに崖から落ちて死ぬように吹き込んだのだと思っているらしい。こちらを見つめる瞳には慨嘆の色が浮かんでいる。
「わ、私なら大丈夫です。助けてもらいましたし、これ以上一緒にいても迷惑をかけることになりますし……」
リズはやんわりと保護されるのを断った。
正直なところ、教会やそれに関わる人とは一緒にいたくない。万が一生きていることが知られてしまえば、今度は確実に死ぬよう、もっと別の方法で処刑されるかもしれない。