捨てられたひよっこ聖女の癒やしごはん~辺境の地で新しい家族と幸せライフを楽しみます!~
リズは自分を納得させるようにパンッと手を合わせた。
そうだ、そうにちがいない! と、何度も頷いていると、青色を帯びた妖精が頬を膨らませる。
『幻覚じゃないのっ! リズは崖から落ちる時に聖力が覚醒したの。火事場の馬鹿力ってやつなの』
火事場の馬鹿力で聖女と同じように妖精が見えるようになるなんてあり得るのだろうか。
否、現に自分は妖精を見ることができているし、会話まで成立している。
『僕たちリズを助けるために、女王様のお力を借りてリズの身体を小さくしたー』
風の妖精はリズの身体が小さくなった理由を説明してくれる。
「女王様? 女王様って妖精女王のことですか?」
『せいかーい』
「どうして女王様が私を助けてくださるのです?」
『女王様や私たちもリズが聖杯を壊した犯人じゃないって知ってるの。だから助けたの。それにドロテアが……』
「へえ、リズは妖精と会話ができるのか? いいな。俺も一度で良いから話してみたいな」
気づくと後ろにはクロウが神妙な表情をして立っている。
「お兄さん!」
リズはクロウにも妖精が見えていることに驚いた。