捨てられたひよっこ聖女の癒やしごはん~辺境の地で新しい家族と幸せライフを楽しみます!~
「アスランは良い魔物だけど、悪い魔物と信じて恐れる住人もいるからここからは歩きだ」
「分かりました。アスラン、乗せてくれてありがとう!」
リズはクロウに地面へ降ろしてもらうと、アスランに抱きついた。
アスランもお礼と言わんばかりにほっぺを舌で舐めてくれる。
「あはは。くすぐったいです」
「アスラン。先に要塞に戻って身体を休めていてくれ。リズに町の中を案内してから向かうから」
アスランは頷くと再び空高く飛んでいった。
「さあ行こう。ソルマーニ教会は町の一番北、要塞の手前にある」
クロウに手を引かれてリズはソルマーニ教会を目指して歩き始めた。
町の中は王都よりも規模は小さいが活気があった。広場では市場が開かれていたし、パン屋さんからは香ばしい匂いも漂ってくる。洗濯場では主婦たちが手を動かしながら話に花を咲かせているし、子供も元気にその周りで遊んでいる。
(なんだか村自体が大きな家族みたいです)
率直な感想を心の中で呟きながら歩いていると、いつの間にか並木道に差し掛かる。
綺麗に整備された一本道。両サイドに植えられた木々は青々とした葉が茂っていて、もっと日差しが強くなれば木陰が役に立つだろう。
並木通りを抜ければいよいよ教会が現れる。