捨てられたひよっこ聖女の癒やしごはん~辺境の地で新しい家族と幸せライフを楽しみます!~
ヘイリーは「こんなに凄い料理を作れるなんてリズは立派なコックさんだね」と頭を撫でて褒めてくれた。
どうやらこの教会にとって食事は最大の問題だったようで、まともに料理ができる人間が誰もいなくて困っていたようだ。
これまではメライアが料理を行っていたが彼女の料理スキルは壊滅的だった。ヘイリーとケイルズはメライアよりももっと酷く、包丁を握ることすらできない。美味しいご飯が約束されるならとヘイリーはその日からリズを教会の料理担当として任命してくれた。
それから会いたかったクロウはというと、既に要塞に帰ってしまった後だった。
結局きちんとお礼が言えないままになっているので残念で仕方ない。
ヘイリー曰く、非番になったら会いに来ると言っていたらしいが、それはなかなか難しいみたいだ。
第三部隊シルヴァは他の部隊と異なって常に魔物に備えて要塞で待機していなくてはならない。隊長という立場もあり、そう簡単に休むのは難しいのだろう。
クロウやアスランに会えないのは寂しいが、ヘイリーを含む教会の聖職者たちはみんなリズに優しく、暮らしていてとても居心地が良かった。何よりもみんなが「美味しい」と言って毎日喜んでご飯を食べてくれる姿は作り甲斐がある。
(みなさんのために、私にもできることがあって良かったです)
こうしてリズは、すぐにソルマーニ教会になくてはならない存在になったのだった。