捨てられたひよっこ聖女の癒やしごはん~辺境の地で新しい家族と幸せライフを楽しみます!~
「死霊の接吻!? あれは持っても三ヶ月の命ですよ! 早く教会本部に連絡して司教様か聖女様を派遣していただかなくてはいけません!!」
ますます分からない言葉が飛び交うので、リズは隣に座っているメライアの服の袖を引っ張って小声で話し掛けた。
「メライア、死霊の接吻ってなんです?」
「死霊の接吻っていうのはそのままの意味で悪い幽霊に接吻をされること。万が一接吻されてしまうとその人のもとには他の死霊や悪いものが集まってくるの。受けた人間は日に日に生気がなくなって眠ることも食べることもできない廃人になる。最後は死霊に魂を貪り喰らわれて二度と輪廻転生ができない。……この呪いを解くには聖女様か聖力のある司教のお力が必要よ」
「うちの司教様はどうなんですか? 彼も司教様だから凄いんでしょう?」
思ったことを口にすると、メライアは何とも言えない表情を浮かべて言葉を詰まらせた。
「……司教はお力のある方だったのよ。だけど今の彼には死霊の接吻を解く聖力がないわ」
メライアは肩をすぼめて表情を曇らせるとそのまま口を噤んでしまった。力が使えなくなった理由があるようだが、これ以上追及するのは野暮な気がする。
諦めたリズは改めてヘイリーとケイルズの会話に耳を傾けた。