捨てられたひよっこ聖女の癒やしごはん~辺境の地で新しい家族と幸せライフを楽しみます!~


 まずはヴェントに必要な野菜を野菜箱から洗い場まで風を使って運んでもらい、アクアに水で洗ってもらう。
 リズは踏み台に乗って包丁を手に取ると、調理台の上に運んでもらった野菜の下処理を終わらせてから切り始めた。ニンジンを乱切りにして、タマネギとニンニク、筋をとったセロリをみじん切りする。それからブロッコリーは小房に分け、ベーコンは食べやすいサイズに切る。

 イグニスにかまどの火を熾してもらい、鍋にバターを入れて温まって溶けたらタマネギとニンニク、ベーコンを入れて炒める。
 タマネギとニンニクが飴色になった頃合いで小麦粉を入れ、粉っぽさがなくなるまでさらに炒め、白ワインを加えて沸騰させてから水も加える。

 ぐつぐつと煮立ってきたらニンジンとセロリを入れて蓋をする。火を弱めてもらい、じっくり煮込んでスープがとろりとしたら、最後に塩とコショウで味を調えて完成だ。


 味見をするとタマネギの甘みとセロリの風味がアクセントになっていて美味しい。全体的に優しい味がして、空っぽになっているお腹には丁度良さそうな仕上がりになった。
「早速スープを届けに行きましょう」

 お玉を使って慎重に水筒へ移してから蓋をして、バスケットに入れる。空いているスペースにパンと皿、スプーンも収納した。
 両手でバスケットの持ち手を掴んで持ち上げようとすると思った以上に重量がある。

(ううっ。どうしましょう、今の私の腕じゃバスケットを支えられそうにありません)
 足下がふらついていると、突然バスケットが羽のように軽くなった。

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