捨てられたひよっこ聖女の癒やしごはん~辺境の地で新しい家族と幸せライフを楽しみます!~
第5話
クロウは今回ほど自分の失態を悔いたことはなかった。
辺境地であるスピナ周辺は魔物ばかりが出没する。その思い込みに囚われてしまったせいで死霊に対する備えが不十分となり、悲劇を招いてしまった。
聖騎士団第三部隊シルヴァは要塞で暮らしていて、山から魔物が人里へ下りて来ないか常に監視する。そして、有事の際は戦うのが役目だ。
人や物が行き交う交易路であればもっと魔物対策や道の整備に投資がいくだろうが、あいにくここは辺境地。接している隣国とは別ルートで交易路が確保されているし、そちらは商業都市が多く栄えているのでわざわざスピナを通って隣国へ向かう者はほとんどいない。
それに時季的に魔物の動きが活発になるので山間を抜けて隣国へ行く人間は極めて少なくなる。
当然のことながら、シルヴァは活発になった魔物の討伐に向けて対策を練っていたのだが、その矢先に教会本部から調査依頼がクロウのもとに届いた。
内容は、国境沿いにある廃墟に禍々しいものが住みついていないか調査して欲しいというものだった。人が住まなくなった邸は邪気が滞りやすく、魔物たちの住み処になりやすい。数年に一度、シルヴァが魔物の巣がないか調査を行い、あれば駆除することになっていた。
依頼書を確認したクロウは禍々しいものが魔物だと思い込んだ。魔物から受けた傷や毒に効く薬草やキノコを樹海で採り、備えを万全にして廃墟へと向かった。