捨てられたひよっこ聖女の癒やしごはん~辺境の地で新しい家族と幸せライフを楽しみます!~


 ヘイリーはリズを修道院へ帰るよう言いつけると部屋の扉を閉める。
 クロウは息を吐くと改めてヘイリーに感謝の意を述べた。

「この度は教会の扉を開いていただきありがとうございます。あなたでなければ、きっとこんなにも早く対応はして頂けなかったでしょう」
「そんなことありません。聖職者たるものこれくらい当然のことですよ。今、ケイルズとメライアに清めの塩と聖水を準備させています。今の私が保有する聖力だけでは心もとないので、それらを使って守護陣を強化しておきます。それと、塩の弾丸を追加で届けに来ました」
「ありがたく頂きます」

 丁度手元の残り数が少なかったのでこの差し入れは非常にありがたい。何から何まで手を尽くしてくれるヘイリーにクロウは頭が下がる思いだ。
 腰のベルトに付けているケースに弾丸を収納していると、ヘイリーが指を差して尋ねてきた。
「ところでアシュトラン殿、ポケットから出ているそのチェーンは?」

 クロウはポケットに入っている物の存在を思い出して、あっと声を上げる。
「そうだ。これを司教にお見せしようと思っていました」
 ポケットから出したあるもの――それは錆びてしまったオーバル型のロケットペンダントだ。

 死霊が消えた場所に落ちていたもので、何かの手がかりになると思って持ち帰っていた。
「表面は錆びていますが、中の状態はそれほど悪くありません。廃墟内と比べると劣化してまだ日も浅いです」
 クロウはロケットペンダントを開いて中に描かれている絵をヘイリーに見せた。そこには若い女性の絵が描かれている。茶色の髪に青い瞳をしている彼は優しく微笑んでいた。

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