捨てられたひよっこ聖女の癒やしごはん~辺境の地で新しい家族と幸せライフを楽しみます!~


「もちろん、リズの作るご飯がアシュトラン殿を元気にします。夕飯も頼みますよ」
「はい、私に任せてください!」
 リズは胸の辺りで拳を作ると元気よく返事をした。


 守護石を受け取って解散すると、リズは再び厨房に戻って作業を開始する。
 入り口の棚に置いていた三角巾を頭に付けてからエプロンをしめる。
『リズ今夜は何作る? 今日は何の日?』
 厨房のかまどへ先に戻っていたイグニスが火を熾しながら尋ねてくる。

 イグニスが何の日かと尋ねてくる理由は、ソルマーニ教会を含む教会には毎日何を主菜にして夕飯を食べるかが暗黙のルールとして決められているからだ。
 因みにソルマーニ教会では豆料理が日曜日と水曜日、魚料理が月曜日、玉子料理が火曜日と金曜日、肉料理が木曜日と土曜日と決まっている。

 山間なので海産物は滅多に捕れないこともあり、魚がない日は他のもので代用している。食材はいつもケイルズが町から仕入れてくれているので、その食材を見てから何を作るか決めていた。
 そして今日は木曜日なので肉料理の日だ。

「今夜はメインにポークカツレツのレモンソース添えを作ります」
『分かった、火が必要な時は任せて』
「ありがとうイグニス」
 まずは付け合わせにニンジンのグラッセを作る。

 ニンジンは皮を剥き、一センチ幅で輪切りにする。小鍋にニンジンと水を入れてから柔らかくなるまで中火で茹でる。柔らかくなったらイグニスに火力を強めてもらい、水分を煮詰めていき、ハチミツとレモン汁を入れてさらに煮詰める。水分がなくなったらかまどから小鍋を下ろし、刻んだハーブをかけて混ぜ合わせる。

 ニンジンのグラッセを冷ましている間に、次はポークカツレツを作っていく。

< 76 / 184 >

この作品をシェア

pagetop