捨てられたひよっこ聖女の癒やしごはん~辺境の地で新しい家族と幸せライフを楽しみます!~
ケイルズは並べられた料理を一目見て眉を上げた。
「おおっ。今日のご飯はとても豪勢だね。そしてこれは世に言うポークカツレツ? 初めて食べる料理だよ!」
ソルマーニ教会で育ったケイルズは生まれてこの方ポークカツレツを食べたことがないらしい。初めて食べる衣を纏った料理に浮き立っている。
「さあ、みなさん席について。食事の前に感謝の祈りを捧げましょう」
ヘイリーに促されて全員が席に着く。長机の上座にはヘイリーが座り、その隣にケイルズとメライア。向かいにリズが着席する。
みんなで手を組んで目を閉じると感謝の祈りを捧げた。
「恵みを与えてくださった母なる大地よ、妖精よ、その慈しみに感謝してこの食事をいただきます」
祈りの言葉を紡ぎ終わるとみんなが一斉にナイフとフォークを手にする。
ケイルズやメライアは気になっていたポークカツレツへと真っ先に手を伸ばしていた。リズもそれに倣ってポークカツレツから食べてみることにする。
フォークで押さえてナイフを入れれば、サクッサクッと小気味よい音がして、中の豚肉が肉汁と一緒に顔を出す。それと同時に爽やかなレモンとバターが鼻孔をくすぐる。
一切れ食べてみれば、サクサクな衣としつこくないバター、そしてレモンのさっぱりとした酸味が口の中でいっぱいになった。
ふと、周りを見るとみんなポークカツレツの味に目をきらきらと輝かせている。