捨てられたひよっこ聖女の癒やしごはん~辺境の地で新しい家族と幸せライフを楽しみます!~
第3章 森で出会った仲間たち

第1話



 それから三週間が経った。
 リズは朝と昼はクロウとできるだけ一緒にご飯を食べることにした。彼はリズと持ってくるご飯を楽しみにしていて、毎日美味しいと褒めてくれた。

 伯爵家出身の彼はもっと美味しいものをこれまで食べてきたはずだ。
 きっとお世辞に違いないが、美味しそうにご飯を食べてくれる姿を見ているとやはり作り甲斐がある。それに何故か分からないが、クロウがご飯を頬張る姿を見ていると不思議と初心にかえって美味しい味を追求しようとレシピ研究に没頭した。

 改良したご飯を提供する度、クロウもヘイリーたちも大きく舌鼓を打ってくれる。
 リズは彼らの反応を見て、今まで感じたことのない高揚感に満たされていった。


 そしてクロウは加護石のお陰で離れ棟の外へ出られるようになった。
 リズが作るご飯の甲斐もあり、顔色も当初より随分と良くなった。呪いで廃人になると危惧されていたが、日増しに元気を取り戻している。
(この状況が続けば、聖力を持つ司教様が来るまで持ちこたえられるかもしれません)

 ヘイリーはあれからも教会本部とやり取りをしているが、近隣に死霊の接吻を浄化できる程の聖力を持った司教がいないため派遣は難航していると言っていた。教会本部から司教を派遣できないか、確認を取ったところ別件が立て込んでおり、動くにはもう少し時間が掛かるらしい。
 それでも加護石のお陰で呪いが悪化しないのなら御の字だろう。

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