捨てられたひよっこ聖女の癒やしごはん~辺境の地で新しい家族と幸せライフを楽しみます!~
脚立の上で万歳をしているとバランスを崩してしまい、脚立がぐらつく。
(わわっ! このままでは落ちてしまいます!!)
手をぱたぱたと動かしてなんとかバランスを取ろうとするがうまく体勢を整えられない。背中から地面に落ちることを覚悟していると、大きくて温かなものに支えられる感覚がした。気がつけば、地面に足がついている。
「まったく。危なっかしいな、リズは」
上から溜め息と共に声が降ってきたので頭を動かすとクロウが微苦笑を浮かべていた。
「お兄さん! 助けてくださってありがとうございます」
リズは慌てて俯いた。眉間に皺を寄せているので、クロウに呆れられたのではないかと心配になる。
(ううっ。助けていただいたのはありがたいですがこんな失態、見られたくなかったです)
しょんぼりとしていると、目線が合うように逞しい腕でクロウがリズを抱き上げる。
「別に怒ってないからそんな顔をするな。リズを心配しているだけだから。脚立は地面が平らなところに置かないと、足場が悪くなる。さっきみたいにバランスを崩して地面に落ちたら怪我をするかもしれない。今度からは気をつけるんだ」
クロウは心底心配してくれているようだった。いつもリズを注意する時は眉間に皺を寄せているので呆れているのではないかと勘違いしてしまう。