捨てられたひよっこ聖女の癒やしごはん~辺境の地で新しい家族と幸せライフを楽しみます!~
第2話
天気が良い日は洗濯干し場の近くに置いてあるベンチに座ってクロウと朝食を取るのが最近の日課だ。
リズは朝ご飯として用意していたチーズサンドとミルクの入ったバスケットを手に提げて彼の元へ戻る。深呼吸をして心を落ち着かせたこともあり、先程のように変に意識することはなくなった。
クロウはチーズサンドを摘まむと美味しそうに頬張り始める。
「リズはこれから何をするんだ? 聖学の勉強か?」
「私はこれから、森へ行って木の実がないか探しに行きます。今日は月曜日で夕飯が魚料理の日になるのですが、ケイルズによると魚は仕入れられないとのことでした。代わりに甘いスイーツを作ろうと思っています。お兄さんは?」
「俺は鍛練だ。要塞の時と比べて随分身体が鈍ってしまっている」
普段前線で戦っているクロウは毎日要塞で過酷な鍛練を行っている。死霊の接吻で呪われてからは離れ棟から一歩も出られず、死霊や影に警戒して常に緊迫感の中で過ごさなくてはいけなかった。
しかし、ヘイリーの加護石のお陰で日中は外に出られるようになり、これで心置きなく鍛練ができるようになった。離れ棟へ初めてご飯を届けに行った日の、生気のない表情と比べて溌剌としている様子からその効果を窺い知ることができる。