エンドロールの先でも君を恋うから
本当に見られるなんて、と零れないように目いっぱい映す。
なんとなく、由良くんが隣にいるなら見られる気はしていた。
由良くんと、この一面の星空が同じように見えていればいいなって思う。
「曇ってたり、雨が降ったりしたら二人は会えないのかな」
「雲の上で会ってるだろ。一年も会えないとか耐えらんないし。
下から見られてるのが恥ずかしいから時々雲で覆ってるんじゃない?」
「恥ずかしい…?」
「キスしてるところ見られたら嫌でしょ?」
「な、なにそれ...由良くん変態」
へんてこな考え方に顔を歪ませる。
由良くんは他の人よりも想像力が広めで、あっと驚くことが多い。
文化祭の装飾のアイデアもそうだし、今の考えだって私は思い付かなかった。
だから由良くんは皆より一歩前に出て引っ張っていける力があるのかな。
「あ、そろそろ21時」
「帰らないと」
写真も撮ったけれど、やっぱり自分の目で見上げる空が一番綺麗だった。
この写真は、由良くんと一緒に見たっていう思い出にしようかな。
星空と由良くんの手の体温は、私の眠れない夜をつくった。