エンドロールの先でも君を恋うから
擦り傷
「弥衣、待たせてごめんね?行こっか.....なんで目閉じてるの?」
「...眩しくて」
夏音くんの相変わらずの嘘っぱちなキラキラ笑顔にやられて思わず目を瞑ってしまった。見ているだけで疲れるくらいなのに、本人は疲れないのか。
切り替える時が一番労力がいるような気がする...
「桜名さん、どこいくの」
「ドレスがほとんど完成したみたいで、着られるかどうか試してくるの。でも由良くんには見せないよ」
絶対に付いてきそうだったので先に釘を刺しておく。
小さく舌打ちが聞こえてきたのは触れずに夏音くんを引っ張った。
こうやって触れる回数を増やせば慣れるかもしれない、と夏音くんの同意のもと、だ。
「夏音、桜名さんに触らないで」
「秋よく見て。触られてるの俺だから。
まあ誰もいないところでは俺も弥衣の手、痛っった!?」
ご機嫌ななめの由良くんに足を思いっきり踏みつけられて夏音くんは黙った。
過保護なのと、加えて文化祭に部活に忙しい由良くんは、とてつもなく不機嫌。親しい人にのみ限定で。