エンドロールの先でも君を恋うから
「…次は読めてないん、だけど」
少しの無言の間が私を不安にさせた。
正気じゃないことだって分かっていた。
でももうこれ以上傷つきたくない、泣きたくない。
数秒の空白の後、彼は私の予想と真反対で。
「…これ全部叶えたらお前はこの男のところにいけるんだろ。なら、やったらいいじゃん。
もしこれ無視してあっち側に行ったら、悲しむかもよ。まだ1までしか読んでねえけど、このノート書いた男がどれだけ桜名さんを大切に想ってるのか伝わる。」
「それか、約束も守れない奴だとは思わなかったって怒って離れてくかもしんないね?」
あっち側、と言って指さしたのは柵の向こう側。
脅迫してきた時とまるで同じ顔、由良くんは悪そうに笑った。
「…優羽は怒ったりしないし」
「どうかな、環境が変わると性格も変わるんじゃない」
くだらない、馬鹿馬鹿しい。そんなことを言われると思っていた。
…こんなに口悪いのに、全然冷たくない。あったかくて、優しくて、心が揺れる。
柵の向こう側の世界だとか、由良くん自身は信じてないのかもしれないけど、私の心は由良くんの言葉で少し冷たさが無くなった。