エンドロールの先でも君を恋うから
…大丈夫ならいいんだけど。
映画カフェには、文字通り図書館の本のように映画がたくさん並んでいる。人の目に触れないような作品から有名なものまで揃っていると評判だ。
好きな作品を選んで併設されているカフェの席で観ることができるという場所。
───そろそろ出ようか。お気に入りの映画を一本観終わったところで傾いた夕日を見つけてしまった。
冷めるまで外さないと決めていたのに、映画に夢中になって、結局飲み終わってから今スリーブを外したのだ。
「……え」
“良ければ、もっとお話したいです。”
スリーブに隠されていたメッセージに、その場でうずくまって唸ってしまう勢いだった。
最後の「。」は、全然丸には見えなくて、緊張が全部乗っかっているような文字。
さっきの店員さんの言葉とこの文字の意味を理解した瞬間、顔が熱くなるのがわかった。
別に、好きだとか言われているわけじゃない。でも話したいって思ってくれているのが嬉しくて。
…私も同じこと思ってたから。
目が合うと心が跳ねて、同じ空間にいるって考えると落ち着かない。
少しでも長く君の目に映りたくて、頼むものは決まっているのに悩むふりをしたり、オススメされたトッピングを溢れるほど付けたり。
時間にしたら数秒なのに、それでもいいって思う。
──こんな私に名前を付けるなら “恋” でしょう?