エンドロールの先でも君を恋うから
この日だった。弥衣がなぜか俺と優羽が知り合いだって知っていた。
初めて会った屋上に出ると、真っ青な空に飲まれそうなほど近く感じた。風の騒ぎ立てる音が余計自分を落ち着きからは遠い場所へと連れていく。
嘘つきだって、嫌われるだろうか。
「───…私、帰るね」
違う、嫌われるんじゃない。信じてもらえなくなるんだ。
優羽に頼まれたから弥衣に声をかけたんだって、きっと勘違いされている。
とはいっても、全てを話すのにはまだ時間が足りない。まだ柵を飛び越えてしまう意思が残っているはずだから。
情けなく彼女の名前を呼ぶしかできなかった。
「また明日」、多分そう言った。
弱くて小さくて、震える声を発した彼女は背を向ける。
それから完全下校の放送が鳴るまで、なにかに繋がれてるわけでもないのにその場から一歩も動けなかった。
隠していていいものだとは思っていなかったし、逆に言っていいものだとも思わない。
生きたいと言ってくれる日が来るまで、俺は君に何を伝えればいいだろう。
朝はいつ来る?