エンドロールの先でも君を恋うから

三番目の願い事を見たのは、それから二週間過ぎた後のこと。



なんで、こんなに二人きりで会えていなかったのかと言うと。



「あ、そうだ秋頼、今日体育館使えないらしい。雨漏りしてるって」


「去年もしてたろ。しかも試合前って」



私と月ちゃんの前の席でパンを頬張る由良くんと、その隣にいる櫻木君。



すっかり定着した四人でご飯を食べている最中、櫻木君の言葉に由良くんは嫌そうに顔を歪ませた。



バスケ部は今週末に練習試合がある。



いつも僅差で勝ったり負けたりのライバル校らしく、学年が変わって初めての試合だって聞いた。



練習試合なのに毎回生徒がたくさん応援にくるらしい。



必ず時間取るから、と一人でノートを見ない約束をした。



新しいページはめくっていないけれど、毎日毎日同じページを読み返している。


文章を覚えてしまいそうなくらい。



中学生の頃、付き合っていた人に振られた月ちゃんが「メッセージ読み返しちゃうんだよね」って言っていた意味が今ならわかる気がした。



この文字を書いていた時は、毎日のように私のそばにいたんだよなって。



ノートに触れば、その時間に戻れたらいいのに。

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