エンドロールの先でも君を恋うから

「由良くんは普段出かけたりする?」


「しない」


「やっぱり」



それだけ無気力気味なのに部活は違う、きっと由良くんにとってバスケットボールは本当に大切なものなんだ。



この前の授業でやったバスケは由良くんが一番点を取っていた。



滲む汗までも由良くんの装飾のように身につけてしまっているように見えて。



試合中は棒立ち状態で、ルールなんてシュートすること以外何も知らない私だけど、由良くんが凄いってことは伝わった。



私にもそういう何かがあるか、頭に浮かべようとしたけれどまるで見当たらない。



夢中になっていたのはお菓子作り。甘いものを食べると頭にまで甘さが上って、大体のことを許してしまう。



小さな喧嘩も、自分に対する嫌悪も、何にでも薬のように効いた。



じゃあ、私にとってのお菓子が由良くんのバスケなのかな。



「笑ってる、なんか楽しいことあった?」



パシャリと音がして顔を上げると、スマホを私に向けていた由良くん。にま、と笑ってカメラロールを見せてくる。



「ゆ、由良くん消して!」



やだ、と予想通りに口を開いた由良くんとの言い合いは、月ちゃんが帰ってくるまで続いた。
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