エンドロールの先でも君を恋うから

土曜日。



六月に入る前の日、梅雨と呼ぶにも早い今日。



雲ひとつない青空の下は思ったよりも暑くて、厚めのブラウスにジャンパースカートで学校に来た私は少し汗ばむくらいだった。



制服じゃない格好で学校に入るなんて、変な感じ。



ちょうど試合中なのか、応援の声と笛の音が体育館の中から響いている。



いや、応援っていうより、歓声…?



女の子の高めの声が聞こえてきて、櫻木君が言っていた言葉を思い出した。



「秋頼は異常な程モテるから。まあ、そんなに整った顔してバスケの実力も頭一つ抜けてるし当然だよね」



人気者なことは理解していたつもりだったけれど、ここまでだとは思っていなかった。



ステージの裏から階段を上ると、たくさんの人達が試合を見ていた。このギャラリーにいるほとんどの人は由良くん目当てだったり…?



ごめんなさいを連呼しぺこぺこ頭を下げながら、やっとのことで着いた場所は、ゴールの真上。



ギャラリーの柵に貼り付いている白い紙は、セロハンテープから見て最近付けられたものだとわかった。



“写真は嫌だと言う選手がいますので、写真撮影は御遠慮ください。選手本人に許可を撮った撮影(プレーを見返したい等)のみ使用可能です。
また、差し入れも御遠慮ください”
< 55 / 238 >

この作品をシェア

pagetop