エンドロールの先でも君を恋うから
アイドルみたいな注意事項の下では、後半戦の真っ最中。
あ、由良くんだ…
由良くんは汗をユニホームで拭きながら、走ってボールを目で追う。
目がいつもと違うことに萎縮した。今彼の世界にはあの立っているコートしか映っていないのだろう。それが空を見上げるような、綺麗な景色だと思った。
まとっている雰囲気が由良くんじゃないみたいだ。ユニホーム姿を初めて見たから尚更別人に見えてしまう。
だけど、その手についている桜色と白色のミサンガは確かに由良くんのもの。
てっきりバスケ部の人達みんなで付けているものだと思っていたけれど、コートにいる誰も付けていないようで。
「瑞星!」
櫻木君の名前を叫ぶ声音に少し震える。
私はその試合が終わるまで一度も目を離すことなく見入ってしまった。
・
「───桜名さん、おまたせ」
がらんとした体育館には、いつの間にか私と由良くんの二人だけ。
無難にスポーツ飲料と片手で簡単に食べられるような食べ物を買ってきて渡すと、思った以上に喜んでくれて。
もし次があるなら、何が欲しいか聞いてからにしようか。はちみつレモンとか、塩飴でもいいかもしれない。
「誰もいないし、ここで見ていく?」