エンドロールの先でも君を恋うから
───キイ。
ノートを開こうとした時、小さく音をたてて屋上の扉が開く。
誰かが来るだなんて絶対に無いと思い込んでいたから、何も悪いことはしていないのに、ドキリと心臓のはずむ音が私の中に響いて聞こえてきた。
「…そんなに端っこにいたら落ちるよ」
端に座る私を見つけて第一声。
その声の主はクラスメイトの男の子だった。
とはいっても、学年がひとつ上がってから三週間。
私は二年生になって今日初めて学校にきたから相手は私のことを知らないかもしれないけれど。
今日は担任の先生のところに行くだけで、授業だって出なかった。
名前は、由良 秋頼(ゆら あきより)君。
周りよりも特に高身長で、顔のパーツは綺麗に整っている。
それだけでも十分目を引くのに、クラスでは委員長を務め、バスケ部では次期エースだといわれているらしい。
一年生では一組と五組で離れていたものの、彼の噂はしょっちゅう耳にした。
通りすがりに由良くんが友達と歩いているのを見つける度、口調が少し荒くて怖いイメージが膨れていった。
多分男の子はほとんどそうかもしれないけど優羽が怖いとは真逆の位置にいるから、尚更だったのかもしれない。