総長様は極甘な妄想を止められない
騒ぎに気づき
人がワラワラと集まってきた。
男たち3人はというと
俺が初恋に沼りかけた間に
車で逃げて行っちゃったんだけど
この後
沼りかけていた俺の恋心が
完全にピンクで染められてしまう
異常事態が発生するなんて!
仲間を引き連れ
現場に駆けつけた東雲さんは
彩芽を抱き上げ
「剣崎、よくやったな。
妹を助けてくれて、本当に感謝しているよ」
優しいお兄ちゃん顔で
俺の肩をさすってくれた。
「けんざき~
おねぇちゃん、ありがとう~」
笑顔を取り戻した彩芽が
手を振りながら帰って行く。
彩芽が見えなくなったころ
……えっ??
俺は受け入れられない現実に
固まってしまった。
だって
微笑み続けていた女の顔から
急に、涙がこぼれ始めたから。