総長様は極甘な妄想を止められない



「私、教室に戻るね」




桜井はドアの方を向き

教室を出ていこうとしたけれど


桜井の足を止めたのは

悲しみで揺れる、俺のボヤキ声だった。




「桜井ってさ
 俺に興味がないもんな」



「……え?」



「高校3年間
 俺たちは同じクラスだけど

 オマエに話しかけられたことは
 一度もないし」




遠い目をした俺。


恋に絶望したようなため息が

俺の口から洩れる。


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