うちら絶対前世でつながっていたよね。ほんと、大好きだよ。だけどごめん。ほんとに、ごめん。



話を聞くと、優依が2週間前に別れた彼女は3人の子持ちで、2年半同棲していたようであった。





直接聞いたことはないが、優依は子どもが好きだったと思う。





「まじ?でも優依、子ども好きやん?」



って聞き返すと、



「好きやけど、毎日一緒だとキツかった。」



「まじ精神的にやられた。」



などと、返ってきた。









私は子育てをしたことがないから、子育ての大変さを知らない。





でも、その大変さをその若さで知った優依が、急に大人っぽく思えた。






『なーんか知らん間に、優依も大人になってんなー』




と思った。















「でもさー、血のつながりもあると思う。」




ふとそんな言葉を放った優依に対して、



私は全力で『そんなことない!』って否定した。






私は、自分の父と血のつながりはあるものの、一度も父の愛情を感じたことはなかった。




小学生のころ、父の日のプレゼントにと、お小遣いをためてハンカチを買ったことがある。




何を買っていいかわからなかったが、毎日使うものだから気に入らなくても使ってくれるだろう、と思ってた。




父は、私からのプレゼントを受けとると、そのままリビングの棚の上に置いて自分の部屋に入っていった。




そして、

包装された中身を確認することもなく、何週間も何ヵ月も同じ場所に置きっぱなしにしていた。










それから、そのハンカチがどうなったかは覚えていない。







むしろ、どうでもいい。






私が見えるところでずっとずっと置きっぱなしにされたプレゼントは、私の心を粉々に傷付け、その後も私の心が修復されることはなかった。







そんなことが、日々起こっていた。






だからこそ、

優依が言った「血のつながり」は関係ないと本気で思った。


血がつながってろうが、つながってなかろうが、子どもに対する愛情があればきっとそれは伝わると思った。







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