うちら絶対前世でつながっていたよね。ほんと、大好きだよ。だけどごめん。ほんとに、ごめん。

それから、なんとなく優依と顔を合わすことも多くなった。


て言っても、挨拶程度。


でも、私のことだからきっと優依が言ってた自習のときみたいに、積極的に関わってたと思う。




勉強を教えてた記憶はまったくないんだけど、、。




優依との関係性は、少しずつ深まっていった。



それは、事実。



塾の終わりに少しだけ話をしたり、私の仕事終わりに途中まで一緒に帰ったこともあった。


なんでそんなことになったんかな?


流れはわかんないけど、違和感なく一緒に歩いたことは覚えてる。




そのとき、初めて優依の父ちゃんにも会った。


あれは、唐突すぎてまじびびったんやけど(笑)



優依の、「あ、とーちゃん!」って言葉に


とっさに、

「あ、どうも。塾で講師をしてますタマキです。」

と、挨拶した。


緊張してた私に、優依の父ちゃんはとびっきりの笑顔を見せて答えた。


「こいつ、頭悪いから大変っしょ。いつもありがとうね。」




緊張が一気にやわらいだ気がした。






父ちゃんと一緒に帰る優依に、「またね!」と笑顔で手を振った。







思春期まっさかりの娘と2人で歩く父親を見て、

いい父ちゃんだな、

って本気で思った。












私の父親は、私が小さいときに育児放棄をしていた。

父親と2人で歩いた記憶なんて、ほんとにない。

だから、ほんの少し、羨ましい気持ちとほっこりする気持ちで、2人の後ろ姿を見ていて嬉しい気持ちになった。






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