うちら絶対前世でつながっていたよね。ほんと、大好きだよ。だけどごめん。ほんとに、ごめん。
10/8
「きいつけて!」
優依からラインをもらったこの日、
私は幼なじみの友だち、よっちゃんと神戸に来ていた。
いよいよ、その日がやって来たのだ。
待ちに待った優依に会える日。
この日は、新幹線で神戸に向かい、そのまま電車で予約していたホテルに向かった。
ホテルでチェックインを済ませ、しばらくゆっくりして過ごした。
お腹がすいてきたころ、外に出た。
暑すぎず、寒すぎず、ちょうどいい天気だった。
ご飯を食べ観光地に向かい、もう1組、関東から遊びに来ていた友だちと合流した。
みっちーとやす。
この2人は、美男美女の夫婦。
見た目だけじゃなく、性格もほんと美男美女。
自慢の幼なじみだ。
ひととおり観光地で遊んだあと、電車に乗った。
私は、優依に連絡を入れる。
「今出た。電車乗ってるとこ!」
もうすぐ会えると思うと、かなりドキドキした。
「わかった。ホテルまで迎えにいく!」
「な、姉ちゃんおったら嫌よな?」
優依から、突然の質問だった。
姉ちゃんおるのは、前々から知っていた。
嫌じゃなかったけど、正直、『え、まじ?』と思った。
この日は、2人で飲みに行く予定だった。
でも、2人きりで会う勇気なんて正直なかったのも事実。
私は、「姉ちゃんおるなら、私の友だちも誘うよ!」と、返信した。
結局、その日は、私の友だちと優依の姉ちゃんを入れた6人でご飯を食べることになった。
タクシーで、優依が指定した場所へ向かう。
タクシーの運ちゃんが道に迷ったため、途中から歩いて向かうことになった。
優依と電話で道を聞きながら歩いていると、「な、今駐車場の横歩いとる?」と聞かれた。
前を向くと、全力で両手を振っている人が見えた。
道の両端に立っていた街灯が完全に逆光となり、顔は見えなかったが、100%優依だとわかった。
近づくと、満面の笑みをした優依が立っていた。
約6年ぶりに会う優依。
大好きな優依。
ほんと、何も変わらない笑顔を見せる優依。
いとおしさを感じた。
優依に触れようと、思わず右手がのびた。
その私の右手を無視し、優依は私の目の前で大きく両手を広げた。
そんなんされたら、飛び込んじゃうしかない!
考える暇もなく、優依の腕の中に飛び込んだ。
「みーちゃん、会いたかった。」
そうつぶやく優依の声が聞こえた。
一生このままでいたかった。
温かい。
優依、会いたかった。
もっと、優依の温もりを感じていたかった。
惜しみながらも優依が腕を離し、私たちを店の中へ案内した。
先を歩く私に、優依は改めて後ろから抱きつく。
『か、かわいすぎる。』
正直、顔がにやける。
店では、優依の隣に座った。
優依は、私にもたれるぐらい近かった。
横を見ると、すぐ隣に優依の顔があった。
終始、お互いの足は触れ合っていた。
しばらくして、カラオケ大会が始まった。
私たちは、盛り上がる曲をみんなで全力で歌い、店内の雰囲気を一気にかっさらった。
そのあと、なぜか私の友だちと優依が HYの「NAO」を歌うことになった。
私の隣で、私のほうを見ながら歌う優依。
「言葉一つそれだけでいいのに、
どちらとも言わないあなたを、
離したくはない離れたくもない、
他の誰かいても。。。」
歌詞がグサグサささってきた。
優依のことが大好きだと、改めて感じた。
なんで結婚なんてしたんだろう、、、。
優依ともう少し前に再会していたら、、、。
ただただそんなことを考えていた。
神戸1日目。
その日は、それで終わった。
「また明日ね!」
店の外で、優依に声をかける。
明日は、朝から会う予定。
楽しみすぎる。
ホテルに戻ると、よっちゃんとワイン&ビールを飲み交わした。
午前3時になるころ、
優依に「おやすみ!」とラインし、
眠りに落ちた。
その晩、私の夢に珍しく優依が登場した。
優依と私は、なにか口喧嘩をしていた。
「ごめんね。」と言う私に、優依は納得していない顔を見せていた。
喧嘩の原因はわからなかったが、夢の中でも優依に会えたことが嬉しかった。
昔、優依に「結婚してや。」と言われた夜のことを思い出した。
いろいろ考えたのち、私は
「優依とは喧嘩したくないから、結婚できない。」
と、答えていた。
それは、事実だった。
優依とは、すべての瞬間においていい関係でありたい。
夢の中で優依と喧嘩をしたことで、
夢の中で優依に謝ったことで、
案外、喧嘩しても仲直りすればいいだけかも
と、思い始めた。
でも、
今更気づいてももう遅い。
もう少し前に気づきたかった。
******