うちら絶対前世でつながっていたよね。ほんと、大好きだよ。だけどごめん。ほんとに、ごめん。

10/9


「おはよー!」





優依からラインをもらい、神戸2日目が始まった。






優依は、10時にホテル前まで迎えに来てくれた。








助手席には、優依の姉ちゃんが座っていた。






兵庫に来る前、優依が私に言ってた、



「車乗るとき、みーちゃん助手席な!姉ちゃんは後ろ座らせるけん!」



って言葉を思い出した。





『がっつり姉ちゃん前座っとるやん!』



って一瞬で思った。



けど、何も言えることなく


大人しくよっちゃんと後部座席に座った。


















この日は、優依とよっちゃんと優依の姉ちゃんとで、遊園地に行く約束をしていた。
























助手席の姉ちゃんと、運転席の優依。








後ろから見ていて、けっこう面白かった。





とゆか、衝撃的すぎた。





明らかに、姉ちゃんは優のことが、大好きやった。





優依が少し動くたびに、




「飲み物飲む?大丈夫?」



「たばこ吸う?」



「シートベルトきつくない?」



「次の信号右ね。」









とか、いろいろ声をかけていた(笑)











姉ちゃんの心配をよそに、優依はまるでドヤンキーのリーダー的存在感丸出しで運転を続けていた。









ただのヤンキーではない、







私からみて


どヤンキー。(笑)















こんな優依を見たのは、初めてやった。












あの、運転するときに人格変わるタイプ。


あんな感じ。









言葉づかいは悪いし、自分の前に割り込んでくる車に文句言うし、たばこは窓からポイ捨てするし、重低音響かせるし、響かせたまま車置いてコンビニに入るし、










私の前では、いつもかわいい優依だったからこそ、初めて見るイカツイ優依が衝撃的すぎて、常にポカン状態やった( ̄▽ ̄;)










遊園地に到着すると、優依と相合い傘で歩いていた姉ちゃんが振り向き、




「ねぇ、私たちちゃんと姉弟(きょうだい)に見える?」




と、尋ねた。









「うん、見えるで!」




と、ふつーに答える私に、姉ちゃんは





「良かった。まさかカップルに見えてないよね、と思って!きゃはっ!」





と、幸せそうに笑っていた。














『すげぇな、姉ちゃん。』









ってまじで思った。









ユウ愛がえげつなさすぎる。











案の定、というのか、






遊園地では、姉ちゃんと優依の隣の取り合いバトルが繰り広げられた。






その日、大雨だったのだが優依は傘をさしていなかった。





濡れながらあちこち動き回る優依を心配し、声をかけ自分の傘の中に優依を入れる姉ちゃん。






一人になった瞬間を見計らい、優依に声をかける私。






私と優依が一緒の傘に入っていると、






「優、こっち来る?」





と、なぜか私から優依を引き離す姉ちゃん(笑)




















もはや、面白すぎた(笑)









こんな近くで自分の取り合いが行われているなんて、どマイペースの優依はおそらく気づいていなかったと思う。








『なんて幸せなヤツだよ、』








こればっかりは、





「お前愛されてんなー」





と伝えたい気分だった。











優依は、自己肯定感が低すぎるから。











こんなに愛されている優依は、もう少し自分に自信を持ってほしいと思った。








見た目や態度を強く出さなくても、きっと、誰も優依を否定しない。









優依はみんなから愛される存在だよ、




って。





そう伝えたかった。





















その日の夜、







優依の家に寄ってから、私と優依と姉ちゃんの3人でご飯屋さんに行くことになった。





優依が飼っているペットに、私がずっと会いたがっていたことを優依は知っていた。








初めてあがる優依の家。








姉ちゃんも一緒やったから、緊張が少し和らいだ。







姉ちゃんおってて良かった、って、このとき初めて思えた(笑)



















玄関入ってすぐ、優依の部屋があった。









「ここ、優の部屋やけん入っていいよ。」






と、案内する姉ちゃん(笑)















その部屋は、男物のフィギュアやポスターが貼られていて、「The 男の部屋」 って感じやった。












どこに座っていいかわからず、とりあえずベッドの端に座っていた。






しばらくして、優依が「レオ」をつれてきてくれた。






とってもふわふわで、一瞬でとりこになった。





夢中になってレオと遊んでいると、急に優依が私の後ろで着替え始めた。







ズボンを脱ぐ音がしたからビックリして振り返ると、上着も脱いでノースリーブ&パンツ姿の優依がいた。









急すぎて焦ったんやけど、




「待って、待って、カメラ回していい?(笑)」



と、とっさに冗談を言った。







へ、変態キャラすぎる、、、!
 



と、すぐに言ったことを反省した。







笑いにせんと、あの雰囲気は耐えられなかった。






優依も「ここに変態おるでー、みんな来てやー!」と返す。







平常心を取り戻しながら、優依に



「てか、めっちゃ濡れたろ。シャワー浴びてき。」



と声をかけた。






優依は、「え、いいの!?」と言い、



嬉しそうに浴室へ向かった。







しばらくして、シャワーあがりのいい香りをした優依が戻ってきた。





抱きつきたい気持ちを、必死におさえる。












優依は、「この格好似合うかな。」と私に尋ねながら上着をあわせていた。










「うん!似合うよ!」



と答えると、



「そう?ならこれにしよ!」と言い、




最高の笑顔を私に見せた。













そのあとは、3人で優依の行きつけの店に向かった。







入ってすぐは、優依との思い出話に花が咲いた。









「初めて会ったとき中学生やったな!」




「まじ、塾の記憶、みーちゃんしか覚えとらん!」






「なんで仲良くなったっちゃろね!」





「ほんまよね、担任やなかったのに!」





「それな(笑)」

















一生このまま過ごしていたい、と思えるような雰囲気。





  








でも


時間がたつにつれ、優依の顔に疲れが見え始めた。








今日はずっと運転してくれていたし、私の友だちを駅まで送るかもと心配し、優依はずっとノンアルを飲んでいた。











22時ころ、店を出ることになった。









正直、2軒目に行きたい気分やった。








優依と2人きりで。









でも、姉ちゃんが優依のそばをベッタリくっついて離れなかったけん、『もうええわ。』と私も諦めていた。













優依は、私をホテルまで送ってくれた。









ホテルにつくと、ヒマすぎてワインを飲みながら海外ドラマを見て過ごした。











正直



優依に、連絡しようか迷っていた。







会おうって言ったら会ってくれるかな、

嫌じゃないかな、

もう疲れたかな、

 







そんなことを考えながら、



ホテルに戻ってから1時間が過ぎたころ、




優依からラインが届いた。








今日撮った写真を送ってくれたのだ。

















私は、今誘わないと一生後悔すると思い、優依に




「疲れた?」


「今から会える?ヒマすぎるとって!」




と、聞いてみることにした。











すぐに、優依から返信がきた。












「ぜんぜん会えるよ!」













嬉しかった。







『まさか、姉ちゃんおらんよな?』


と思ったけど(笑)











そのあと、すぐに優依が車で迎えに来てくれた。









「ガソリン入れに行きたかったけん、ちょうど良かったわー!」



と、笑顔で言ってくれた。













 で、気づいた。













今回の兵庫旅で優依と2人きりで話すのは、今、この瞬間が初めてだと。















いつぶりだ。













6年ぶりぐらい?





もしかしたら、7年ぶりぐらいかもしれない。


   
















緊張しすぎて、ぜんぜん喋れなかった。








私も緊張してたし、

優依が緊張してたのも伝わった。










どこに行くかしばらく決まらず、


結局、優依の家に行くことになった。











余計に緊張した。








まさか、1日に2回も優依の家に行くなんて思ってもいなかったし、時刻はもうすぐ零時になろうとしていた。






さっきと違い、優依の家は静まり返っていた。










優依の部屋で、「レオ」と一緒に過ごした。
 






正直、



緊張して「レオ」にばっか話しかけ、優依とはぜんぜん喋れなかった。






反省。








きっと、一生反省すると思う。










でも、


このときの私は、それが精一杯だった。

 












明らかに優依が眠そうになってきたので、私は帰ることにした。







 
また、優依がホテルまで送ってくれた。





帰りの車の中でも、優依とはぜんぜん喋れなかった。






ほんとは、ハグとかしたかった。







手とかつなぎたかった。











はぁーーーー。







ホテルに戻り、喫煙所で一人ため息をつく。



















後悔しながら部屋に入り、


優依にラインを送った。














「明日の朝、起きれたら温泉集合な!」













これが精一杯の言葉だった。
   



 








みんなでご飯を食べているとき、明日の朝、一人でホテル近くの温泉に行くと優依に話していた。












温泉が大好きだし、 


優依にもっと会いたいと思っていた。








   
















優依からの返信はなかった。
















『きっと、疲れてすぐ寝たんやろな。』




『疲れさせてごめんな。』









優依のことを想いながら、神戸2日目が終わった。
















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