うちら絶対前世でつながっていたよね。ほんと、大好きだよ。だけどごめん。ほんとに、ごめん。
*その日は突然に*
何気ない1日。
優依から、1通のラインが届いた。
毎日のラインなんて当たり前のよう。
だけど、
優依からの連絡は、いつでも心踊るぐらい嬉しかった。
でも、
この日は何かが違った。
連絡が途切れることなんて、まれにあることなのに
「ごめん、バタバタしてた。」
と優依が珍しく謝ってきた。
この時点で、ちょっと違和感があったんだけど、
「ぜんぜん!忙しかったと?大丈夫?」
と、何事もない感じで返した。
優依は、「運動会とか行っとった!」
と、私に返した。
てっきり、姉ちゃんの子どものことかと思った。
そのときは、何もかもがハッピーだった。
私は、ハッピーモード全開で会話を続ける。
「そーなんや!かわいかったろーね!」
「いつこっち来ると?はよ来いー!」
そんな私に、優依は、
「落ち着いたら、絶対に行く。」
と返した。
違和感再び到来。
『落ち着くってなにが!?!?』
『な、なんか、温度差ないかー!?!?』
いろいろ疑問に思ったけど、あえて聞かなかった。
この時まで、私の頭の中にはハッピーしかいなかった。
私は、完全に舞い上がっていた。
「それよりも私が先にまた兵庫に行くかもな!」
私の、優依への想いが伝わったんだと思う。
その瞬間は、ふいに訪れた。
「あのさ」
「元カノとより戻すかもしれん」
「まだ言ってないから決まってないんやけど」
・・・・・
・・・・・
頭の中真っ白やった。
ついこないだまで、
「離婚して兵庫来てやー!」
「それもありやな!」
「ね、誕生日ディズニー行きたい!」
「お互いの誕生日プレゼントでチケット買おう!」
そんな会話をしたとこだった。
動揺する私をさしおいて、優依は続ける。
「なかなか離れられんし、嫁にするならこの人かなって思ってる。」
「子どももパパっ子やし」
「でもな、その子とより戻したら、みーちゃんと好きなときにラインも電話もできんくなるけん、それは嫌なんよ。」
「代償がでかすぎる。」
優依がよりを戻そうとしている相手は、
前回の彼女、
優依と約2年半同棲して結婚まで考えてた彼女、
3人の子持ちで、子どもも優依のことをパパと慕っている彼女
なにより
6年前、
優依のケータイから私の連絡先を抹消した束縛彼女だった。
私は、正直に伝えた。
「また連絡とれんくなるのは嫌なんやけど!」
本心だ。
優依は答えた。
「もう連絡先消されることはさせんよ。」
「やけん、みーちゃんのこと、男の友だちってゆってる!」
・・・・・
『より戻す気満々やん、、、。』
そう思った。
優依は、会話を続ける。
「ね、羽の意味知ってる?」
優依とのおそろいのアンクレットには、羽をモチーフにした模様がついてあった。
「羽ってさ、1本だと飛べんやん?2本だと飛べるけんさ、ペアとかニコイチの意味があるんやって。」
「それで、誰とおそろいなんって聞かれてさ、」
「誰ともおそろいやない、って答えた!」
さっきから私が複雑な感情を抱いていることに、優依は気づいているのだろうか。
羽の意味、、、。
正直、どうでも良かった。
違ったタイミングで聞いていたら、きっと喜んでいたと思う。
でも、
よりを戻そうとしている彼女に言われて初めて羽の意味を知った優依に対しても、おそろいではないと嘘をついたことに対しても、素直に受け取れるほど、私の心は寛大ではなかった。
「そーなん(笑)」
と、わざと笑いで返した。
正直、
なんて返したらいいのか、わからなかった。
そのあとも、
「でも、みーちゃんとはこれからも会いたいし、連絡もとりたいけん、みーちゃんには悪いけど、男ってことにしてもらうな!」
と、続ける優依。
束縛元カノとよりを戻す前提で話を進める優依に、私は心から寄り添えなかった。
精一杯の言葉で、文字をつづる。
「否定する気はないんやけどさ、その人いい人なん?妥協とかやないんやったら、連絡とれんくなってもしゃーないかな、って思える。でもさ、前に束縛とかあったやん?大丈夫なん?」
最初で最後のつもりで、優依の気持ちを確かめたかった。
「俺な、女友だち多いやん。」
「それだけは無理やねんて。」
「でも、俺に対しても相手が思うことあるやろうし、結婚しても他人やん?そこを折り合いつけていくのが結婚やと思ってる。」
優依は、そう答えた。
『あ、そなんや。。。』
としか、思えなかった。
もう固まっとんな、と思える発言。
なんか、
急に優依が遠くに感じた。
6年ぶりに優依と連絡を取り始めたころ、
「元カノでさ、今まで好きになった人いないんよ。」
って言われたときのことを思い出した。
同じころ、
優依は、私のことを「好き。」と言ってくれていた。
私は、とっさに
「その子のこと好きなん?」
と、聞いてしまった。
優依は、
「俺、人を好きにならんやん?でも、その子は彼女って言うより、家族って感じ。」
と、答えた。
『ワ、ワタシヘノスキオワターーー!』
優依との思い出やいろいろな感情が、大きな音で崩れ落ちていくのを感じた。
もう、これ以上なにを言うても優依の気持ちは変わらんな、と思った。
「自分の人生やけん、自分の幸せを1番に考えりーね!」
「話してくれてありがとう!」
と、最後に伝えた。
しばらくしてから、
「うん!」
「おやすみ!」
と返ってきたが、私は返事を返さなかった。
優依は覚えていないようだけど、
私ははっきりと覚えている。
前に同じ元カノのこと、
「みーちゃんの連絡先消されたくないけん、こいつとはより戻さん!」
って、はっきりと言ってくれたこと。
私の優依への想いが、元カノ、しかも束縛激しめ元カノに負けたことが、何よりも悔しかった。
私では優依を幸せにすることなんてできないと、はっきり言われた気分。
正直、悔しい以外なにものでもない。
どうしよう、、、。
ショックが大きい、、、。
ふぅーーーー、
と、何度も深呼吸をして自分を落ち着かせる。
だめだ、、、。
今はまだ、事実を受け入れられない、、、。
ココロの整理が必要だと思った。