プリザーブドLOVE  ~けっして枯れない愛を貴女に~
 亘は口の端を少し引いて、かすかに笑みを浮かべると、人目につかない応接室なのをいいことに、わたしの耳元に唇を寄せ、囁いた。

「じゃ、個人的に罰してもらおうかな。今夜」

「えっ……二日続けてなんて、大丈夫なの?」

「ああ、うちのやつら、泊まりがけでディズニー行ってんだよ、友達親子と。学校休んで」

「そうなんだ」

 亘は共犯者めいた眼差しでわたしを見つめると、軽くキスして、一足先に出ていった。


 その背中を見送りながら、わたしは両手で頬をぱんぱんと叩いて、緩んだ表情を仕事モードに切り替えた。

 今日は、朝までいるんだろうなと思っていた。

 奥さんもお嬢さんも留守だというから。
< 13 / 88 >

この作品をシェア

pagetop