プリザーブドLOVE  ~けっして枯れない愛を貴女に~
 N市は都心から電車で2時間ほどのところにあった。

 遠方には低山が連なり、駅周辺以外には高い建物もなく、市街地にところどころ畑がのこっているような、のどかな町だ。

「俺、ここで生まれ育ったんです。大学生のときは東京で下宿してたけど、結局、戻ってきちゃって」

 駅前を通りかかったとき、まだ昼過ぎなのに学ラン姿の男子高校生が4,5人たむろしている。

 試験期間なのかな。

 田所も数年前まであんな高校生だったんだろうか。

 運転している男の横顔を目の端で見る。
 今、学ランを着ていても、それほど違和感なさそうだ。

 この4月で3年目と言っていたから、25歳か。

 えっ、10歳年下⁉︎

 ん? ということは、わたしが就職したころには、まだ中学生ってことか。
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